前川國男の建築を辿った先輩へ

橘川雄一|2023.12
「住と建築(一般社団法人全日本建築士会 会報誌)」 2023 12vol780 建築の生涯 前川建築の軌跡 を読みました。

いまWalter Isaacson著"レオナルド・ダビンチ(文春文庫)"を読んでいます。1452年から辿った軌跡を描写をしながら、ルネッサンス・フィレンツェ、ミラノで時代を生きるひとりの人間、"レオナルドとは何者か"を描いています。"画家"だと思っていた見方を大きく改めました。

先輩が描く"熊本県立美術館(前川國男設計)"は、多くの人が関わりながらダイナミックに時代を切り拓いていた"戦後"という時代の"近代主義"建築の姿"を、"作る"という視点で描いています。時代の活写です。
興味深く読みます。

以下今考える事です。
熊本県立美術館竣工から48年経ち、『建築』はいま全く別物です。人は極端に"いません"。職人ばかりでなく所長も。
M建設の500億円を大幅に超える赤字も、人がいない中で無理して仕事を取るからだとも言われています。
我々も施工者選定は未経験ゾーンでの作業になっています。いままで事業主が施工者を選びました。いまは施工者の人手不足から事業主は施工者を自由には選べません。対等な関係に見えます。
等々、 
『建築』はこれからの姿が全く見えない中で進んでいます。『ホモ デウス(ユバ・ノアハラリ著・河出書房新社刊)』で言う「ホモサピエンスは滅びる」は真言かもしれません。