創造性って何?

橘川雄一|2024.3
北海道帯広のお菓子屋さんの仕事をしたことがある。そこは大変美味しいだけでなく文化性も高いと評判のお菓子屋さんである。
社長(当時)は年間の1/3は海外を回っている。地方の一経営者ではない。世界中の文化を身体に入れそしで世界中の料理を食べ歩いている。
大変な目(味)利きで、わたしも一度イタリアに同行したが、毎食魅力的なレストランに行きまた注文した料理を皆でシェアして食べる。私も全食を味わった。
彼は傍に"食べた料理の材料と味付けをすぐに理解できる天才人"を侍らせている。
長い海外食歩きを経て北海道に戻り自分の会社で美味しいと評価した料理をその天才人に再現させる。美味しいと思った料理の再現なので、どこで作っても美味しい。
その中でいくつかセレクトされた料理が彼の運営するレストランで出される。皆が揃って美味しいという。
彼は本業の"菓子"も世界中で味わってくる。料理と同じく北海道で再現させる。美味しいと選択されたお菓子はどこで再現しても美味しい。
彼は商品としてマーケットに出すときは北海道の食材に置き換える。ここで物真似ではないホンモノの独創性のある食べ物となる。"グローバルな味"を北海道の食材で作り出すのだ。すごい納得感を感じた。
その菓子を食しながら"創造性(creativity)"とは何かを初めて理解した。
"美味しい"とわかったものを"北海道の食材"に置き換えるだけで、彼独自そして独創的なお菓子となるのである。
創造性"creativity"とは"今あるもの"に対するレスペクトが起源であるとはその時に知りそして今の私の信念である。