“市民・建築NET”という会

橘川雄一

“市民・建築NET” と言うページがインターネット上にあります。丸の内・東京海上火災日動ビル(TMIB)解体に、“前川建築の保存”を訴えて、奥村珪一氏を会長とし前川國男事務所OBを核に立ち上げた会です。TMIBの思い出を多くの方に記して頂き、本「えっ! 本当に壊すの⁈ 東京海上ビルディング」を出版しました。

ただ保存運動は多くの人々の支持を得るまでは至らず結局解体され現存していません。未燃焼感があります。“市民・建築NET”会では継続して、建築の保存を基軸に活動をしています。

先週8/30(金)に、千駄ヶ谷にあるJIA本館で「使われ続ける建築とは-紅葉ヶ丘を事例に-」と言うセッションが開かれました。講師として前川事務所私の5年先輩の橋本功氏。“前川建築”の話なのでそれなりに人気があり、参加者100人位いたと思います。神奈川・紅葉ヶ丘の作品群(神奈川県立図書館・音楽堂=神奈川県指定重要文化財、青少年会館、婦人会館)を事例に、建物所有者神奈川県と時代に合わせた建築への改修工事を打ち合わせながら、さらにオーセンティシティを守りながら、前川建築保存の苦闘を橋本功さんが語りました。

市民・建築NETセッション

(添付資料参照) 彼が言う様に“社会がフォローしてくれないと、保存は空念仏”になってしまいます。説得力ある改修が出来るかは前川國男が残した宿題です。現社長橋本氏は、父親の面倒を見続ける息子のように生涯を賭けた闘いになっているかもしれません。

私が20歳代の時に前川國男事務所で担当した「白河市立歴史民俗資料館」も昭和54年(1979年)開館で築45年が経っています。竣工後、法的点検以降は前川事務所は全く関わっていないと思いますが、まだ白河市の歴史展示の役割は果たしています。周りの方々に愛されてひっそり生きている建物もなかなかいいものです。私も数年前に数十年の時を経て久し振りに訪問しましたが、きちんと使用してくださっていて設計者として幸せだと感じました。

“建築”っていいものだなとは、時を経て強く感じます。

紅葉ヶ丘の前川建築
資料
白河市立歴史民俗資料館